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マチュピチュ不思議空間

マチュピチュはとんでもなく広い遺跡である。半分ぐらいを見てくたくたになってしまう。クスコからの日帰りツアーではとても見切れないだろう。疲れと雨の降る予感に、昼食をとることにする。席に座った途端、雨が激しく降り出す。時期的なものかスコールのような激しい雨が午後に降ることが多いようだ。多くの人が遺跡からびしょびしょになりながら、出てくる。しかし、雨が止む予感がしたので、食べながら待つことにする。雨が降った後はきれいな写真が撮れることが多いという、自分の法則もある。やはり、雨は止み、少し日がさす。遺跡に急ぐ。

観光客もぐっと減っている。何枚か、良さそうな写真を撮る。そのとき、急に遺跡の中心にある、木が気になりだす。マチュピチュの遺跡にはほとんど木が生えていないが、その一本だけが大きく枝を伸ばしている。まるで、宮崎駿のラピュタの木のような、その木を撮りに行く。そこはコンドルの神殿と呼ばれるところであった。神殿から出ようとすると、補修作業をするおじさんと出くわす。おじさんが日本人か、とスペイン語で聞く。日本人だよ、雨がひどいねえ、と返す。この神殿のこと知ってるかといいながら、ここからここに抜けられるんだよと、巨石の裏側の通路を教えてくれる。この神殿の中心には巨大な自然石があり、複雑な通路がある。急におじさんが陶器には興味があるかと聞く。こっちへ来いといいながら、ポケットから石の彫刻を取り出す。誰にも言うな、見せてやると、貸してくれる。握り手がついた彫刻で、見たことが無いようなものだったので、すごいね。高そうだね(売ったらという意味で)?というと、「20ドルでいいよ」という。え、そんな発見したものを20ドルで売るかよ。なんだよ、土産品でこづかい稼ぎかよ。しかも、陶器でも無いし。と心の中でつっこみを入れつつ、「10ドルでどう?」と返す。すると「いいよ」という。まあ、マチュピチュ記念でいいかと思い、買う。「絶対に言うなよ」といいながら、去っていく。「もちろん」と返す。

おじさんは修復作業に戻ったのかなとまわりを見たのだが、だれもいない。狐にだまされたような(いまどき使わない表現だが)気持ちになる。

周りの山を見ると、虹がでていた。写真を撮る。脇をみると、野ウサギが3匹ぐらいこちらを見ている。そちらの方に行ってみる。変わった建物が続く。ミイラが安置されていたような穴がいくつかある。周りには見渡すかぎり一人もいない。こういうところにいると、今、どの時代にいるのかわからなくなる。道に迷う。少し不安になり、急いで階段を登る。遠くに人が見える。よかった。

なんだか、道と時間の迷子になりそうな不思議な感覚であった。

マチュピチュについて独断で採点:
不思議度:★★★