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メーカー的視点で見るWillcom 03レビュー

 私は、ここ数年Willcomのスマートフォン(W-ZERO3シリーズ)を持ち続けている。PHSだが電波カバー率も都内では困ったことが無く、スライド式QWERTYキーボードが付いていたり、Outlookのシンクロや月額が安いなど、いろいろ総合していくと、コストパフォーマンスが良いからである。あまり言われていないことなのだが、PHSは、音声品質が携帯に比べて良い(音声通話のビットレートが高い)。ビジネス携帯としては、悪くない選択だと思っている。OSもマイクロソフトの携帯/PDA用OSを積んでいるので、Officeファイルを普通に読めたりするのも、捨てがたい。

GR Digital 021.JPG WillcomのW-ZERO3シリーズは、毎年6月前後に発売される。今年もその時期が来た。「WILLCOM 03」(WS020SH)という機種である。当然のように機種変し、届いた実機にさわってみると、前の機種に比べると、大きさ、重さともにかなり改善している。ほとんど携帯電話と変わりがない大きさとデザインになっている。機能的には、ワンセグテレビが搭載され、Bluetoothという近距離無線機能が入った。そして、今回一番変わった点は、表面がすべてタッチパネルになり、表面のボタンがまったく無くなったこと。そして、ボタンの変わりに、携帯にあるような操作ボタンがバックライトのような形で点灯し、操作ができるようになるのだ。しかも、十時キー+ソフトキーパターンと10キーパターンが切り替えられるようになっているのだ。ボタンに触れると軽く揺れるフォースフィードバック機能がついている。インターフェースデザインとしては、革新的である。仕組み的にはどうなっているのだろう~と考えこんでしまう。表面には何も無いが、このシリーズのウリであるQWERTYキーボードがスライドさせると出てくるのは変わりがない。

GR Digital 024.JPG ただ、この操作系がタッチパネルになったのはわりと困りものである。省電力モードで携帯の画面が消えてしまうと操作ボタンも消えてしまうので、毎回使おうとすると、画面表示キーを押さなければいけない。それから、これはどうしようもないのだが、Willcomの通信速度が遅すぎる。ブラウザを立ち上げると、ネットにつながるのが遅い、加えて、通信網が遅いので3G携帯とは比較できないぐらい不便である。それ以外は、液晶も明るくなっているし、液晶が大きいので、ワンセグも粗が目立つぐらい大きく表示される。W-ZERO3を使い続けている人は、Willcom03はわりとオススメできる。

GR Digital 029.JPG Willcomの歴代のスマートフォンシリーズのものづくりは面白いと感じている。初代の「W-ZERO3」(WS003SH)が2005年11月に発売されてから、「W-ZERO3[es]」 「Advanced W-ZERO3[es]」、そして今回の「Willcom 03」と着実に小型化と機能アップをしてきている。携帯電話では、通常、開発サイクルが1年でプロジェクトが何個か並行に動いて半年に一回にリリースサイクルを作っているのだが、W-ZERO3シリーズでは1年に一回のリリースサイクルで、わりと余裕があるのだろうか、毎回チャレンジした内容をかならず入れてきている。今回はフルフラットデザインや操作ボタンがチャレンジングである。ソフト的にも、マイクロソフトのPocket PC系のOSを使っているため、いろいろできないことが多いのを、自分たちでソフト開発をして、ユーザーに使いやすいように努力している。今回も着実に使いやすくなっていると思う。販売台数的にも、スマートフォンとしては多い、数十万台を安定的に売っていることもユーザーがロイヤルカスタマー化しているということではないだろうか。

 万人に勧められるものではないが、ガジェット好きにはWillcomのスマートフォンシリーズはたまらないですね。