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三菱撤退で考える今後の携帯電話市場

三菱電機が携帯電話市場から撤退すると発表しました。ここ数年、新規加入数の低下、第3世代化での部品の高価格化と納入価格の引き下げ、ソフトウェアの開発コストが爆発的に増えるなど、国内携帯メーカーには逆風が吹いていました。ただ、三菱とソニーエリクソンの撤退は、これら要因に加えて、販売制度の変化によって国内携帯市場が冷え込むことを予測してのことだと考えています。

もともと、国内メーカーの携帯電話は高機能、オプション(ワンセグ・Felicaなど)なんでもつき、ソフトなんでも入り、という、普通に考えても高コストの商品を、携帯キャリアがわりと高値で買い上げ、販売補助金をつけて、0円~数万円で販売するというモデルでした。このため、国内携帯メーカーはキャリアの言われるがままの商品を作っていれば儲かるというモデルでした。このモデルはおかしいだろうということで、モバイルビジネス研究会などの業界として健全化していこうということを取り決め、割賦販売(分割払い制度)などへの販売モデルの変更が進みました。

0円ケータイに慣れてきた一般消費者には、わかりにくい制度なのですが、カンタンに言うとユーザー自身の携帯電話の本当の価格(3万円~6万円程度)はユーザー自身の負債(割賦など)にしましょうということですね。実質払う金額は変わらないとはいえ、一定期間(たとえば2年)は機種変更がしづらくなります。現在、携帯電話の買い換えサイクルは約2年なので、約2年でほとんどの携帯が新しくなっていたのです。しかし、割賦制度で購入した人は買い換えサイクルが長くなるので、全体の買い換えサイクルは長くなると考えられます。

ドコモ905iシリーズの販売数は伸びていると言われているものの、今後の携帯電話出荷台数が伸び悩んでいくことは容易に予測できます。そこで、三菱およびソニーエリクソンが携帯市場撤退するという決定をしたのだと考えています。

国内携帯メーカーは、海外からほとんど撤退し、国内ビジネスも厳しくなるという状況なのです。この流れが進むと、国内携帯メーカーにぶら下がるコンポーネンツメーカー・ソフトベンダーなども苦しくなっていくと予想できます。国内のビジネスを健全化して盛り上げようとして取られた施策が結局国内企業を追い込んでしまうという事態が起きているのです。いままでのモデルがよかったとは言いませんが、今までの状況に甘えていた企業は一転苦しむことになる訳です。今後、この流れが続くと、国内メーカーでは絞り込みが進むと、新規機能による新コンテンツビジネス(昨今の着せ替えコンテンツなど)が導入されにくくなることが予想せざるを得ないです。

 

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