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脱ガラパゴスで思うこと

雑誌日経コミュニケーションの8月15日号に私の記事が掲載された。「通信業界のキーパーソン20人に聞く・脱ガラパゴス処方箋」という特集で、業界内外の著名人・諸先輩方の中に、取り上げていただいたのにはおどろいた。

日本はここがダメだとか、日本のここをもっとアピールしていくべきという声がやはり多いのだが、同時に違和感を感じるところもある。それは、国に関する意識だ。

すでに世界の経済は統合されてきており、金融でも、製造業でも、景気自体も、グローバル全体を考えなければいけない時代に来ている。ここ10年ほど、世界の一部での金融破綻や通貨危機、ITバブル崩壊が、世界中に広がる現象が続いて起きている。経済学でも言われるが、世界中の経済は統合されてきており、一国の国が金融政策を行っても、景気をコントロールできなくなっているのは明らかである。

やはり、記事にも書いたのだが、ノキアのようなグローバル企業においては、国境という考えがそもそも薄い。フィンランド人、イギリス人、インド人、中国人、日本人などで、アジアのマーケットについて打ち合わせすることが当たり前であった。これは、どのグローバル企業にもある傾向だと思う。日本という単位で発想すること自体が時代遅れになってきているのである。特に携帯電話事業では、グローバルで考えるしかなくなってきている。アップルのiPhoneなども、企画、設計やソフト作りはアメリカでやっているにしても、製造は中国、メモリは韓国からなどグローバルでの製造業を行っている。そして、iPhone上のアプリは世界中で作られ、配信される。国単位で考えていてはできないことである。

日本の産業で、携帯産業以外にもガラパゴス化しているものも少なくない。ほとんど国際化しない都市、東京も違和感を感じてきている。観光客は増えているものの、金融以外はビジネス上ではほとんど国際化が進んでいない。シンガポールなどでは、アジア・欧米含めさまざまな国の出身者が同じ会社で働くのが当たり前になっている。グローバル統合されつつある世界経済から、取り残されつつあるとも言えるのではないだろうか。

まず、国という発想を捨て、どうグローバルのプレーヤーとして戦っていくのか、考えなければ、日本のどの産業も今後は難しいであろうと考えている。